2018年10月10日

乗合タクシーを利用する

 ハバナではタクシー料金が急騰している。私が2016年4月に空港に降り立った時、市街のセントロ・アバナ地区に行こうとして料金を尋ねたところ30CUCと言われた。私は裏技を知っている。空港から出て街道でタクシーを拾えば、安く乗れるからだ。空港の敷地内に入るだけでも5CUC割増料金が取られる。
 街道で手を上げて3分も待たないうちに、1台のタクシーが泊まった。
「どこまで行くのか」
「セントロ・アバナまで」
「15CUCだ」
 料金はツーリストタクシーの半額だ。それは黒と黄色のソビエト車のタクシーで、本来は病人や怪我人を輸送するための公共タクシーなのだが、仕事が入っていない時は一般のキューバ人を乗せて営業することができる。建前上は外国人を乗せてはいけないのだが、最近はその取り締まりが緩くなっているとのこと。
 同乗者がいたので、少し大回りになったが、道中はミラマール地区やベダード地区などの懐かしい場所を通って、セントロ・アバナ地区へ。運転手は電話番号を教えてくれて、帰国する際に同じタクシーを利用して、空港前の街道まで同じ料金で乗せてもらえた。このような行為は本来は違法なのだが、最近は警察当局に黙認されているそうだ。
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ソビエト製の自動車ラダを利用した公共タクシー

 ハバナ市内では、マキナ・コレティーボと呼ばれる乗合タクシーが頻繁に走っている。1950年代の古い米国製の乗用車が利用されており、旧市街に近いセントロ・アバナ地区に立つ元国会議事堂のカピトリオ周辺から、各地区へ運行している。
 この乗合タクシーは革命前のアメ車を使用しており、自動車の大きさにもよるが、たいてい乗客定員5人ほどで運行する。空席があれば乗れ、随所で客の乗り降りがある。建前上はキューバ人が利用する交通手段となっているが、経路を知っていれば外国人でも利用が可能。このような古い米国製のタクシーが連なって走る様子は、キューバの特徴的な光景の一つとなっている。
 私がよく利用するのは、ミラマール地区へ向かう乗合タクシー。これに乗って途中のベダード地区まで行く。初めてキューバに来た1997年から料金は変わっておらず、2016年でも10CUPだった。
 一方で外国人向けのツーリストタクシーは年々、料金が値上がりしている。知人の日系人家族が住むベダード地区のホテル・メリア・コイーバ付近から元国会議事堂までは、以前は5ドル程度だった。それが2016年には10CUCにまで値上がりしていた。乗合タクシーを使えば10CUPなので、約23倍もする。
 2016年9月時点で1CUP=約5円、乗合タクシーの料金は邦貨50円程度だ。深夜に乗ると料金が2倍になるが、それでも100円程度なので、ハバナでの市街移動はいつもこの乗合タクシーを利用している。
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古い米国製の乗合タクシーが市街を走る

 経路を知らず、スペイン語が不得意な外国人が乗合タクシーを利用するのは難しいかもしれない。ただ2000年頃から、古い米国製の乗用車を1時間単位でツーリストタクシーとして運行している。ノスタルジックな米国製の車に乗りたいという外国人旅行者も多いようで、オープンカーに改造した車が使用。一般のキューバ人が利用するボロボロな乗合タクシーに比べると、こちらは塗装も内装もきれいに整備されている。
 ちなみに革命以前からある古い米国製の車は、一説によるとキューバ国内に15万台以上走っていると言われる。これらの車は国の文化財に指定されていて、国外への持ち出しは禁止されている。キューバ人は米国製のクラシックカーが、外国人観光客を惹き付ける要素だということを熟知しているようだ。
 ちなみにハバナ市内の路線バスは、旅行者にとっては利用が非常に難しい。地元の人でも自分たちが利用している路線くらいしか知らないだろう。以前はカメージョという、トレーラー型の大型バスが走っていたが、2008年に廃止されて中国製の新型車両を次々と導入。私が2010年に行った時と2016年とではバスの経路が変わっていた。
 観光案内所やホテルで尋ねても、ほとんどわからない。私自身は知人を通じて教えてもらい、2016年に数回利用した。料金は0.20CUPで約1円。安く利用できるのだが、常に満員状態であまり薦められない。
 地方都市では、公共の乗合馬車が走っており、たいてい1CUPで乗れる。歩くのには距離があるが、タクシーを利用するほどでもないという場合に便利である。現地の人などに経路を尋ねて、乗ってみるといいだろう。
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地方都市カマグエイの乗合馬車
posted by sakaguchitoru at 00:00| Comment(0) | キューバ