国立公園の最も大きな滝はガルガンタ・デ・ディアブロと呼ばれ、「悪魔の喉笛」と和訳される。
2020年01月19日
NHKテキスト2月号
アルゼンチンとブラジルの国境を流れるイグアス川。その川が大きく落差がある所に計275の滝がある。その一帯は両国に跨って国立公園になっており、大小の滝はもちろん、自然の動植物が観察できる。

国立公園の最も大きな滝はガルガンタ・デ・ディアブロと呼ばれ、「悪魔の喉笛」と和訳される。
国立公園の最も大きな滝はガルガンタ・デ・ディアブロと呼ばれ、「悪魔の喉笛」と和訳される。
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| アルゼンチン
2020年01月05日
カルロス・ゴーンを生んだレバノンとブラジル
ブラジルのルーラ大統領が、シリアやレバノンなど中東諸国を訪問。2003年12月3日のシリアでの祝賀会では、アルコール飲料を禁じているイスラム教国にもかかわらず乾杯の音頭をとって、アサド大統領を戸惑わせるという一幕もあったが、会談ではブラジルとシリア両国の通商から文化まで幅広い協力関係を結ぶことで同意した。ルーラ大統領は12月6日に隣国のレバノンを訪れ、待望の首脳会談を実現させた。
ブラジルはシリアおよびレバノンと歴史的に深い関係がある。現在ブラジルには全人口のおよそ5%にあたる800万人のシリア・レバノン系移民とその子孫がいるのだ。現在シリアとレバノンの人口は合わせて2000万人という数字と比べると、どれだけ多くの人がブラジルで暮らしているかが認識できるであろう。ブラジルでは一般的にアラブ人、あるいはオスマン・トルコ時代に渡ってきたことからトルコ人とも言われる彼らは商魂たくましく、繊維産業などで成功して財を築いた。ブラジルの有力財界人にも多く、国会議員や州知事などレバノン系の政治家も少なくない。
レバノン系ブラジル人で日本人に最も馴染みのある人は、日産自動車の社長カルロス・ゴーンであろう。 彼はブラジル北部のロンドニア州ポルト・ベーリョで、レバノン系ブラジル人の父親とフランス国籍を持つレバノン系ナイジェリア人の母親の間に生まれた。ゴーンは大学時代にレバノンの首都ベイルートに留学しており、レバノン女性と結婚している。ゴーン家のように、レバノン人は外国に住んでいても同じ民族同士で結婚する傾向が強い。
私はブラジルのサン・パウロで、レバノン料理店を取材したことがある。その際にレバノン移民の子孫である経営者に、「多くの雑誌には我々の店をアラブ料理店と紹介しているが、その表現は正しくない。この店ではレバノン料理しか出しておらず、レバノン料理店と表記してほしい」と言われた。ブラジルのシリア・レバノン系団体は結束が強く、互いに助け合うので彼らの中には路上生活者がいないという。一方でユダヤ人団体とも協力関係にあり、ブラジルでは世界で類を見ないアラブ人とユダヤ人が共存する地だとも言われている。

ブラジルで一般的に食べられている、揚げた肉団子「キビ」はレバノン発祥
ブラジルで成功したシリア・レバノン系の人たちも、祖国との政治および経済関係は意外と希薄であった。 レバノンでは1970年代に内戦が勃発して国土が荒廃し、シリアも米国に敵視されているためにブラジルとの関係は進まず、物流を築きながらも貿易量は思うように増加しなかった。通商関係が有効利用されて来なかったという反省から、今回のルーラ大統領訪問を機に各国間の経済協調を進めようとしている。
ルーラ大統領は今回シリアとレバノンのほかアラブ首長国連邦、リビア、エジプトの計5か国訪問を予定しているが、 11月には南部アフリカ諸国5か国をすでに歴訪している。同じポルトガル語を公用語とするかつての奴隷輩出の地アンゴラ、モザンビークにも訪れており、この両国はブラジルの黒人が祖国とする地でもある。ブラジルはそれまで欧米諸国との関係を重視していたが、多額の外資を呼び込んで急成長する時期と長い停滞期とを繰り返し、結果的に膨大な債務を抱えるという失敗を犯してきた。そんな反省からも、近年は新興国同士の関係強化を進める傾向にある。
貧しい少年時代を過ごし、労働組合の代表からのし上がったルーラ大統領はブラジルのワレサ(ポーランド元大統領)とも呼ばれる。そんなルーラの進める外交は、弱者である途上国同士で助け合っているように見える。ブラジルは歴史的につながりのある国々と、協力関係を今後どのように再構築するのだろうか、長い目で追っていきたい。
*本稿は2003年に執筆したもので、その当時にWEBマガジンに掲載したものを転用。
文中の当時の夫人リタとは離婚しており、別のレバノン人キャロルと2016年に再婚している。
ブラジルはシリアおよびレバノンと歴史的に深い関係がある。現在ブラジルには全人口のおよそ5%にあたる800万人のシリア・レバノン系移民とその子孫がいるのだ。現在シリアとレバノンの人口は合わせて2000万人という数字と比べると、どれだけ多くの人がブラジルで暮らしているかが認識できるであろう。ブラジルでは一般的にアラブ人、あるいはオスマン・トルコ時代に渡ってきたことからトルコ人とも言われる彼らは商魂たくましく、繊維産業などで成功して財を築いた。ブラジルの有力財界人にも多く、国会議員や州知事などレバノン系の政治家も少なくない。
レバノン系ブラジル人で日本人に最も馴染みのある人は、日産自動車の社長カルロス・ゴーンであろう。 彼はブラジル北部のロンドニア州ポルト・ベーリョで、レバノン系ブラジル人の父親とフランス国籍を持つレバノン系ナイジェリア人の母親の間に生まれた。ゴーンは大学時代にレバノンの首都ベイルートに留学しており、レバノン女性と結婚している。ゴーン家のように、レバノン人は外国に住んでいても同じ民族同士で結婚する傾向が強い。
私はブラジルのサン・パウロで、レバノン料理店を取材したことがある。その際にレバノン移民の子孫である経営者に、「多くの雑誌には我々の店をアラブ料理店と紹介しているが、その表現は正しくない。この店ではレバノン料理しか出しておらず、レバノン料理店と表記してほしい」と言われた。ブラジルのシリア・レバノン系団体は結束が強く、互いに助け合うので彼らの中には路上生活者がいないという。一方でユダヤ人団体とも協力関係にあり、ブラジルでは世界で類を見ないアラブ人とユダヤ人が共存する地だとも言われている。
ブラジルで一般的に食べられている、揚げた肉団子「キビ」はレバノン発祥
ブラジルで成功したシリア・レバノン系の人たちも、祖国との政治および経済関係は意外と希薄であった。 レバノンでは1970年代に内戦が勃発して国土が荒廃し、シリアも米国に敵視されているためにブラジルとの関係は進まず、物流を築きながらも貿易量は思うように増加しなかった。通商関係が有効利用されて来なかったという反省から、今回のルーラ大統領訪問を機に各国間の経済協調を進めようとしている。
ルーラ大統領は今回シリアとレバノンのほかアラブ首長国連邦、リビア、エジプトの計5か国訪問を予定しているが、 11月には南部アフリカ諸国5か国をすでに歴訪している。同じポルトガル語を公用語とするかつての奴隷輩出の地アンゴラ、モザンビークにも訪れており、この両国はブラジルの黒人が祖国とする地でもある。ブラジルはそれまで欧米諸国との関係を重視していたが、多額の外資を呼び込んで急成長する時期と長い停滞期とを繰り返し、結果的に膨大な債務を抱えるという失敗を犯してきた。そんな反省からも、近年は新興国同士の関係強化を進める傾向にある。
貧しい少年時代を過ごし、労働組合の代表からのし上がったルーラ大統領はブラジルのワレサ(ポーランド元大統領)とも呼ばれる。そんなルーラの進める外交は、弱者である途上国同士で助け合っているように見える。ブラジルは歴史的につながりのある国々と、協力関係を今後どのように再構築するのだろうか、長い目で追っていきたい。
*本稿は2003年に執筆したもので、その当時にWEBマガジンに掲載したものを転用。
文中の当時の夫人リタとは離婚しており、別のレバノン人キャロルと2016年に再婚している。
posted by sakaguchitoru at 14:56| Comment(0)
| ブラジル