2021年05月29日

シエンフエゴスで聴いたプント

キューバ中部の都市シエンフエゴスでは、中心街のビジュエンダス公園で、毎週日曜の10時頃からムシカ・カンペシーナと呼ばれる農民音楽が上演される。楽団の伴奏部分と、演奏が外れて歌手がデシマという十行詩を詠み歌う部分に分かれる、プント・リブレという形式の音楽だ。
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プント・リブレの上演

歌手が掛け合いになる、典型的なコントロベルシアのプント・リブレとなった。コントロベルシアとはスペイン語で論議を意味し、歌合戦のようになる。日常の出来事を風刺して歌って聴く人たちを笑わせ、会場が盛り上がってきた。私はずっと最前列にいたが、後ろを振り返ると50人ほどの聴衆が集まっている。そのほとんどは年配の人たちだ。
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聴衆のほとんどは年配の白人ばかり

一般的にキューバ音楽は、いかに聴衆を踊って楽しませるかで、その楽団の人気度が問われる。しかしプント・リブレはダンス音楽ではない。年齢的に踊るのが厳しい年配の人たちが、このような音楽に親しんでいるのであろう。公衆の場での楽団上演なので、もちろん入場は無料だ。あまり外国人には知られていない音楽だが、プントはこうして年配の人たちの娯楽となっている。シエンフエゴスのこの公園で、プントの上演と聴衆の反応ぶりを見て、キューバ音楽の奥深さを垣間見たような気がした。
posted by sakaguchitoru at 17:30| Comment(0) | キューバ