2017年01月03日

ペリト・モレノ氷河(中)

 ペリト・モレノ氷河は最も人気がある景勝地の1つで、パタゴニアを象徴する名所である。この氷河は幅4キロ、全長30キロと途方もなく大きい。末端は湖面からの高さが最大で60メートルある。ペリト・モレノ氷河は湖を挟んでその対岸の丘に展望台が設置されており、巨大な氷河をじっくり見学することができる。
 氷河は雪が堆積し、融解と凍結を繰り返しながら長年かけて形成される。パタゴニア南部域の山岳地帯は降水量が多く、大地の氷が河となって流れていく。ペリト・モレノ氷河は年間の移動速度が約700メートル、つまり1日あたり約2メートル分、湖に崩れ落ちているということだ。
 ペリト・モレノ氷河を観察していると、時折音を立てて氷が崩れる。運が良ければ、大きな氷塊が根元から崩れ落ちる瞬間も見られる。氷河や湖は表面が青々として神秘的に美しい。氷河に含まれる砂や塵など細かい粒子に日光が当たると、波長の短い青い光は散乱されるからだ。こうして青く見える巨大な氷河は、周りの森林に囲まれて独特な光景を創り出している。

氷河船.JPG
posted by sakaguchitoru at 09:36| Comment(0) | アルゼンチン

2017年01月02日

ペリト・モレノ氷河(上)

 南米大陸の南端にあるパタゴニア。南米アルゼンチンとチリの南部域にまたがるこのパタゴニアと呼ばれる地方は、総面積が日本の約3倍にも及ぶ。その大半はパンパと呼ばれる草原地帯で、場所によっては砂漠のような一帯もあり、荒涼たる平坦な地がどこまでも続いている。
 広大な地パタゴニアは、場所によって自然の姿も大きく変わる。アルゼンチンとチリの国境地帯は南北にアンデス山脈が走り、雪を冠した山々が連なっている。登山者が目指す名峰や、巨大な氷河などがある景勝地は、国境地帯のアンデス山脈周辺に点在。雄大な自然の光景を求めて、各地から旅行者がやってくる。
 雨量の少ない平地の荒野から、雨や雪が多く針葉樹が生い茂るアンデスの山々、そして巨大な氷河。大自然を求めて各地を旅する私にとって、多様な姿を見せてくれるパタゴニアはとても印象深い大地である。
 下記写真は、着陸する直前に旅客機から撮影した、パタゴニアの平原。

パタゴニア空撮.JPG
posted by sakaguchitoru at 10:46| Comment(0) | アルゼンチン

2017年01月01日

フィッツ・ロイ(下)

 その年の12月、私は再びエル・チャルテンの村を訪れた。バスで向かう道中は晴天が続き、村の手前でフィッツ・ロイ山が見えた時は、雲がほとんどない快晴で、登山や写真撮影に期待が感じられた。
 その翌朝も晴天だったので、1人でフィッツ・ロイ山を目指して登り始めた。私が単独で行動したのは、山中の風景をじっくりと写真を撮りたいと思ったからだ。目指す地点は、フィッツ・ロイ山の直下にある小さな湖までの経路。村からの標高差は約750メートルで、所要7〜8時間ほどで往復できる。
 登山道はまずエル・チャルテンの村から急な山道を300メートルほど登る。そしてカプリ湖を経て、川沿いに平坦な道を歩いていく。岩峰が切り立つフィッツ・ロイ山が目の前に見え、清流の周りを草地やナンキョクブナの森林が広がっている。そんなパノラマ感あふれる独特の風光明媚な光景を眺めながら、さらに上へ登っていった。
 登山道の後半は、大きな石が積み重なっている急斜面だ。ここで一気に約400メートル登るのだが、手を付いて這って歩くような所もあって苦戦する。そして斜面を登り切ると、フィッツ・ロイ山がそびえていた。
 チリのトーレス・デル・パイネにも似ている、花崗岩の巨大な岩峰が切り立っている。そして南側を少し登った所から、青々としたスシオ湖という氷河湖が見下ろせた。
 現地では真夏の12月ということもあり、この日は終日晴天に恵まれ、数えられないほどカメラのシャッターを切った。その写真は自分で何度見返しても、惚れ惚れする作品となった。

追記:この時に撮影した写真は、多くの雑誌記事に掲載された。下記の写真は、ビジネス雑誌の『オルタナ』別冊号の表紙で使われたもの

Fujisan-tenshoku_bible_cover.jpg
posted by sakaguchitoru at 09:07| Comment(0) | アルゼンチン