2017年01月10日

トーレス・デル・パイネ国立公園(下)

 登山者にも人気の高いトーレス・デル・パイネ。塔のように切り立つ奇岩の麓までトレッキングをすることが可能で、山小屋から片道4時間ほどかけて日帰りで登れる。私は国立公園内の山小屋に宿泊し、翌朝に登山を開始した。ちょうどバルセロナから来た中年の3人組がいて、スペイン語で話をしながら一緒に歩いていった。
 トレッキングコースの前半は、比較的緩やかな起伏の山道だ。流れる小川に沿って、峡谷地帯の山肌を伝う登山道を歩いていく。しかし後半はかなりの急斜面となった。上には切り立つ奇岩が見えており、目指す地点はそう遠くはない。ただ大きな石がゴロゴロとしていて歩きにくく、場所によっては手を使って這うように登っていく。初めに一緒だったスペイン人たちはこの急斜面に苦戦しているようで次第に遅れていき、私は彼らより先に進んでいった。
 登り切ったトレッキングコースの最頂地点は、目の前に奇岩がそびえ立っていて小さな湖があった。氷河が横たわって水が滴れ落ちており、独特の青々とした氷河湖である。20人ほどの登山者が湖畔で休んでおり、最頂地点に来てみんな満足した表情をしていた。多様な自然光景に野生動物、そしてトレッキング。大自然を満喫できるトーレス・デル・パイネは、いつかまた行ってみたい地である。

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2017年01月09日

トーレス・デル・パイネ国立公園(中)

 初めてこの地に来た際に私は、まずはミニバスでの日帰りツアーに参加した。早朝を出発して公園入口付近に着いた時、サルミエント湖の畔にラクダ科の野生動物グアナコが30頭ほど群れていた。草を食べているグアナコはかわいらしく、我々を出迎えてくれたようだった。
 国立公園内に入り、まずは展望台のようになっている地点からノルデンフェルド湖を見下ろし、雪を冠した峰々を眺めた。晴れた空のもとに山々や奇岩が連なっており、鉱物分を多く含む青や緑色の湖が点在している。その後ミニバスは、昼過ぎにグレイ湖へ到着した。ここでは遠方にグレイ氷河が見え、水辺には流れてきた氷塊も浮いていた。このツアーで回ったのは初冬の4月で強風が吹き荒れ、日中の気温は10度前後で肌寒かった。
 その年の12月に再び訪れると、気温は20度ほどで穏やかに過ごせた。私はプエルト・ナタレスからレンタカーで国立公園を巡ってみる。動物を見つけては車を停めて写真撮影に没頭。グアナコをはじめ、パタゴニアスカンク、チコハイイロギツネといった哺乳動物を観察した。野鳥では小川を泳ぐマゼランガンの親子が間近で見られ、カオグロトキ、オオバン、そして多種類のカモがいた。さらに湖畔でアンデスフラミンゴの群れに遭遇。夏期にのみ北部から渡ってくるフラミンゴを観察できたのは、運が良かったと思う。

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2017年01月08日

トーレス・デル・パイネ国立公園(上)

 南北に約4500キロの細長い国土が続くチリ。海岸線から国境地帯のアンデス山脈までは東西の幅が200〜300キロ。場所によっては海からのアンデスの山々が見える所もある。隣国アルゼンチンのパタゴニアは荒涼たる草原地帯がどこまでも広がっているが、チリ側のパタゴニア地方は起伏に富んでいる。南部域の海岸線は入り組んでいて、無数の小島や岩礁が浮かぶ。陸地に上がって平坦な草原を東側に車で数時間走ると、アンデスの山岳地帯に差し掛かる。
 トーレス・デル・パイネは、チリのパタゴニアを代表する観光地だ。港町のプエルト・ナタレスからミニバスによる日帰りツアーでも行けて、標高3050mのパイネ・グランデ山をはじめとした峰々を眺められる。この地域は降水量が多く、大小の湖沼が点在。周囲は緑が多く夏には高山植物の花々が咲き乱れ、野鳥の群れが飛び交う。
 スペイン語で塔を意味するトーレス。塔のように尖って切り立つ花崗岩が象徴的で、麓には氷河も横たわる。青々とした湖沼や川に、緑豊かな森林や草地。こうした多様な自然の姿は、訪れる観光客を魅了する。

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