2017年01月22日

アマゾン川(下)

 明け方5時頃、夜明けとともに目が覚める。蚊帳が吊るしてあったので虫さされに遭わず、ハンモックでの就寝も問題なく夜を過ごせた。
 動物を観察するのは、暑くなる前の早朝が最適だ。徒歩で密林に入ると、無数の鳥や虫の鳴き声が聞こえてきた。水辺では小魚を捕らえるヤマセミが飛び交っている。木の上でガサガサと音がしたので、ふと樹上を見てみると、口元が黒い小さなサルがいた。後で調べたところ、これはアマゾン全域に生息するコモンリスザルだとわかった。
 さらに密林の中を歩いていくと明るく開けた場所があり、沼地になっていた。そこにはオオオニバスの葉がたくさん浮いている。大きいものでは直径2メートルくらいのものもあり、レンカクという野鳥が葉に乗って虫を食べている様子も観察できた。
 その日の午後は、ピラニア釣りに挑戦した。あまり流れがない支流の深い所にピラニアは生息している。釣針に生肉を付けて糸を沈めるだけで、誰でも簡単に釣れる。1時間ほどの間に10匹ほどのピラニアが釣れて、夕食は早速そのピラニアを揚げて食べさせてくれた。
 地元の人に触れ合いながら、こうして熱帯アマゾンの自然を満喫することができた。私はこの体験が忘れられず、今後も熱帯の自然を求めて旅を続けたいと思った。

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2017年01月21日

アマゾン川(中)

 タバチンガのホテルに1泊した後、翌朝にツアーボートが出発した。といっても参加者は私とオーストリラリア人男性の2人のみ。迎えに来た船はペルー人が所有する小さなボートで、時折エンストを起こして止まってしまうという、ツアー当初から不安を抱える旅立ちだった。
 アマゾン川の本流は、レティシア周辺では川幅が5キロほどあるので湖のように見える。本流の川辺には熱帯の樹木が覆い茂っており、ボートは木々をかき分けるように細い支流を入っていった。水辺ではヌマガメが連なって甲羅干しをしており、別の場所ではメガネカイマンという大型ワニが現れた。そしてしばらく進むと、草むらで何かが動いている。そっと近付くと体長1メートルほどのカピバラが草を食べていた。
 再びアマゾン川の本流に出た後、ボートは対岸のペルー側に向かい、支流を入って小さな集落に到着。「ここは君たちが泊まる家だ」と言われた所は、船頭の人の住居だった。高床式の木造家屋で、薄い板の壁にトタン屋根という簡素な造りだ。その家の居間にハンモックを吊るして2泊するという、キャンプさながらの夜を迎えることになった。

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2017年01月20日

アマゾン川(上)

 コロンビアの首都ボゴタから飛行機で3時間ほどのレティシア。ここはアマゾン川に面した人口3万人ほどの町で、ブラジルのタバチンガという人口約5万人の町と隣接しており、川の対岸はペルーの集落が点在している。レティシアはこうした三国の国境地帯にある、コロンビア最南端の町だ。
 アマゾン川は大半がブラジルを流れているが、その源流は網の目状にコロンビアやペルーにもある。レティシアはアマゾン川の河口から約2000キロ西の上流域に位置するが、それでも川幅は5キロもあるから驚きだ。世界最大の流域面積を持つアマゾン川は、大小無数の支流が入り組んでいる。周囲は密林が広がっていて、多様な熱帯の動植物が生息している。
 私はレティシアの空港に着いた時、旅行会社でアマゾン川の自然を巡る翌日からのツアーを早速申し込んだ。その会社はタバチンガのブラジル人が経営していて、宿泊先はペルーの集落にある民家とのことだ。着いたその日はレティシアのホテルはどこも満室だったので、タクシーで10分ほどの隣国ブラジルのタバチンガに泊まる。この国境地帯の中では入国審査なく自由に往来ができて、私は1週間の滞在中、10回以上国境を行き来することになる。

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