2017年01月25日

チャグレス国立公園(下)

 その次の日はロッジから車で15分くらい走って、チャグレス川に向かった。川原でボートに乗り換えて、国立公園である川の上流域に行く。チャグレス川はパナマ運河へと流れている川の1つで、流域は雨量が多い。前の晩は降ったものの、その日は晴天に恵まれた。
 チャグレス国立公園はキヌバネドリ科、ハチドリ科の野鳥が多いことで知られる。ボートで川を進んでいくとキヌバネドリが飛び交っており、水辺の木で休んでいる鳥も間近で観察できた。
 そしてハチドリは花の多い所に集まってくる。体長10センチほどの小さい体を空中で羽ばたきながら停めて、花の蜜を吸うことができる。
 チャグレス国立公園では、先住民エンベラ族の集落を訪問できる。国立公園は動植物の乱獲防止のため自然が保護されているが、昔から暮らしているエンベラ族は今でも原始的な自給自足の生活をしているので、観光収入も含めここでの居住が許されている。気温35度と蒸し暑いことから、裸に近い格好をしている。
 私がほかのツアー客7人とともに、チャグレス川沿いの集落を訪問すると、エンベラ族は魚とバナナを揚げた昼食でもてなしてくれた。自然と同化した暮らしを営むエンベラ族との貴重な交流の時間であった。

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2017年01月24日

チャグレス国立公園(中)

 シエラ・ジョローナのロッジが建つ場所は、チャグレス国立公園に近い山中にある。この周囲は熱帯雨林特有の植生で、多数の動物が生息している。
 ロッジに着いた日は、名前のごとく雨が降っていて、レインコートを着て近くのトレイルを歩いた。うっそうとした木々が生い茂り、さらに樹木には多数の着生植物が見られた。大きな樹木に寄生するのはコケや雑草が多いが、美しい花を咲かせるランもある。そしてロープのように垂れ下がった太いツルや、螺旋状に生えた木も着生している。
 その翌日は運良く晴れたので、動物観察をすることにした。まだ気温が高くない早朝は、野鳥が活発に動き出す。森の中から無数の野鳥、サル、虫の鳴き声が聞こえてくる。
 まず見つけたのが現地でトゥカンと呼ばれるオオハシ科の野鳥で、ムナフチュウハシという鳥だった。ガイドとともにさらに密林の中を歩いて、サルの吠える声をたよりに進むと、樹上にマントホエザルが8匹ほどいた。このサルは我々の方を見て警戒の視線を送りつつも逃げようとせず、木の上でくつろいでいた。
 この日の午後は、洞察力の鋭いガイドのおかげで、5メートルほどの樹上にいたナマケモノを見ることができた。私は初めそれが綿毛のような植物だと思ったが、数分待つとゆっくり動き出した。そして木を登り出して1つ上の枝にぶら下がったときに顔をこちらに向けたので、私はここぞとばかりに望遠付きカメラを向けて、何度もシャッターを切った。

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2017年01月23日

チャグレス国立公園(上)

 パナマと聞いて、運河を思い浮かべる人は多いだろう。南北アメリカ大陸でパナマは陸地が最も細く、その最狭部は約65キロ。太平洋側からカリブ海側へ抜ける約80キロのパナマ運河が地峡を横切っている。
 パナマ運河の出入口でカリブ海側に面した港町コロンから、車で30分ほど。私は熱帯雨林の中にあるロッジに宿泊した。経営者のパナマ人女性は高級ホテルで働いていた経験を生かしつつ、熱帯パナマの自然が体験できるようにこのロッジを建てたと言う。その名もシエラ・ジョローナ(Sierra Llorona)というロッジ。スペイン語では「泣き虫の山」を意味する。
 パナマ運河は開閉式の水門が両岸に3つずつあり、船舶が通過するごとに大量の水が放出される。年間4000ミリ超の雨量の多い地だからこそ、パナマ運河は船が航行できる。
 そんな泣き虫のように雨量の多いパナマ地峡で、熱帯雨林を巡ってみた。洞察力の鋭いガイドとともに周囲の国立公園を回り、多様な動植物を観察することにした。

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