野鳥の多い高地モンテベルデ自然保護区で、ケツァールを探すことにした。低地の熱帯雨林と比べ、高地は気温が低く、樹木にはコケなどの着生植物が根付いている。またケツァールが実を餌とするリトルアボガド(スペイン語でアグアカティージョ)の木も多いそうだ。
ガイドに従って熱帯雲霧林の渓谷を30分ほど歩く。双眼鏡を覗いていたガイドが表情を変えた。100メートルほど先にケツァールがいると言う。その鳥が停まっている木に向かい、ゆっくりと近付いていった。
ケツァールは頭から羽先までが緑で、腹の部分が赤く、実に神秘的な色をしている。手塚治虫のマンガ作品『火の鳥』のモデルにもなり、体長は35センチほど。この時に見たのは雌だった。
その翌々日に自力で同じ場所に行った。四駆車のタクシーで早朝5時頃に向かい、20分ほど1人で探鳥する。すると目の前に雄が現れた。長く伸びた尾の部分を含めると全長60センチほど。一眼レフのカメラに500ミリの望遠レンズを付けて待機していた私は、何枚も連写する。まだ薄暗かったので、ISO感度を3200に設定しての撮影。ほとんどが手振れしたが、ほんの数枚、誌面に掲載できる状態の写真が撮れた。
その直後に数十人の団体客がやって来ると、ケツァールは山中へ飛び去っていった。探鳥する際は、野鳥専門ガイド付きで少数人でのツアーが好ましいと思う。

尾の長い美しい雄鳥

雌鳥は雄に比べて地味である