2017年01月28日

モンテベルデ自然保護区

 コスタリカは小さい国ながら、海岸沿いの低地から高原まで、多様な自然の姿が見られる。標高が高い山腹は,湿度が高く霧の発生しやすい「熱帯雲霧林」という森林地帯だ。標高1500〜3000メートルの山中で、珍鳥ケツァールが観察できる。
 野鳥の多い高地モンテベルデ自然保護区で、ケツァールを探すことにした。低地の熱帯雨林と比べ、高地は気温が低く、樹木にはコケなどの着生植物が根付いている。またケツァールが実を餌とするリトルアボガド(スペイン語でアグアカティージョ)の木も多いそうだ。
 ガイドに従って熱帯雲霧林の渓谷を30分ほど歩く。双眼鏡を覗いていたガイドが表情を変えた。100メートルほど先にケツァールがいると言う。その鳥が停まっている木に向かい、ゆっくりと近付いていった。
 ケツァールは頭から羽先までが緑で、腹の部分が赤く、実に神秘的な色をしている。手塚治虫のマンガ作品『火の鳥』のモデルにもなり、体長は35センチほど。この時に見たのは雌だった。
 その翌々日に自力で同じ場所に行った。四駆車のタクシーで早朝5時頃に向かい、20分ほど1人で探鳥する。すると目の前に雄が現れた。長く伸びた尾の部分を含めると全長60センチほど。一眼レフのカメラに500ミリの望遠レンズを付けて待機していた私は、何枚も連写する。まだ薄暗かったので、ISO感度を3200に設定しての撮影。ほとんどが手振れしたが、ほんの数枚、誌面に掲載できる状態の写真が撮れた。
 その直後に数十人の団体客がやって来ると、ケツァールは山中へ飛び去っていった。探鳥する際は、野鳥専門ガイド付きで少数人でのツアーが好ましいと思う。

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尾の長い美しい雄鳥

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雌鳥は雄に比べて地味である
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2017年01月27日

マヌエル・アントニオ国立公園(下)

 この国立公園は,ビーチからすぐ歩いて密林内のトレイルに入れる。短いトレイルなら全長2キロほど。気軽に熱帯雨林が散策できる。また公園専属のガイドは洞察力に長けていて,動物をすぐに見つけてくれると評判だ。
 私はガイド付きのツアーに参加し,欧米人旅行者とともに8人くらいで密林の中に入った。多様な樹木や草が生えており,野鳥や虫の鳴き声が響き渡るのは熱帯雨林ならでは雰囲気だ。暑くて湿度が高く,歩いていると汗が噴き出てくる。
 林間にはリス,アライグマなどの哺乳類が見られ,ハチドリやキツツキ科の野鳥もいた。しかしこれらの動物は逃げ足が速くて,思うように写真が撮れない。そんな時,樹上を見上げている別の10人くらいの団体に出くわした。
 彼らが見ていた動物はナマケモノだった。中米の広い範囲に生息するノドチャミユビナマケモノで,ゆっくりとした動きで樹木の葉を食べている。木の枝から降りてきた時,顔をこちらに向けたので,ここぞとばかりにカメラのシャッターを何枚も切った。その顔はとてもかわいらしい表情だった。

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2017年01月26日

マヌエル・アントニオ国立公園(上)

 白砂の海岸が弧を描くように延びており,背後には熱帯雨林が生い茂っている。同じ太平洋岸の近隣のビーチに比べると,この国立公園は海岸が入り組んでいるので波が穏やかだ。静かな波音と爽やかな海風は,気持ちを和ませてくれる。
 ここは中米の小国コスタリカ。首都サン・ホセからバスで4時間ほどの場所に位置する,太平洋に面したマヌエル・アントニオ国立公園だ。砂浜でのんびりできるとともに,海岸から少し入った密林のトレイルで動物観察ができる。この国立公園は海水浴と熱帯雨林の探索が楽しめることで,人気を集めているようだ。
 まずは海岸沿いを歩いてみた。砂浜近くの岩場では,ハゲノドトラフサギが羽を休めている。そして空を飛び交うカッショクペリカン。ほかにもアジサシなどカモメ科の海鳥が観察できた。
 浅瀬に入って海水浴をした後,ヤシの木陰でひと休憩する。ふと近くを見ると,体長50センチほどのイグアナがいた。こうして砂浜にいるだけでも,多様な動物が見られる。密林の中に入ったら,どんな動植物が観察できるのだろうかと,気持ちが高揚してきた。

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