2018年05月07日

ユカタン半島(上)

 自然豊かなメキシコ南東部のユカタン半島。ビーチリゾートで有名なカンクンをはじめ,古代マヤの遺跡が残っていることで観光客に人気が高い地域である。
 飛行機でカンクンの空港に着陸する直前,眼下には密林地帯が広がる。それはまるで緑の絨毯のようだ。ユカタン半島は起伏がほとんどない平坦な地帯に,熱帯性の樹木が覆い茂っている。
 この密林地帯の様相は,ブラジルやコロンビアを旅した際に,アマゾン地方の上空からの景色を私に思い出させる。しかしユカタン半島がアマゾンと異なるのは,周りをサンゴ礁の海に囲まれていることだ。
 緑の絨毯のような密林と,澄み切った青い海とのコントラストは,上空から見たユカタン半島ならではの美しい光景だ。
 私はユカタン半島を上空から見ると,何だか気持ちが躍動してくるようだ。緑深い密林と青々とした海原に,そこで観察できる多様な動植物が連想される。ユカタン半島への渡航を重ねるごとに自然体験が深まり,私にとっての冒険心がますますみなぎってくる。

DSC_0126.JPG
posted by sakaguchitoru at 00:00| Comment(0) | メキシコ

2018年05月03日

チワワ砂漠(下)

 ポサ・アスールの周辺に点在する泉の湧水は,川となり東に流れていく。水中撮影用のカメラを持ち,泳ぐことができるメスキータ川に入ってみた。固有種のコアウイラハコガメ,多様な水草などが確認できたが,ここでの第一の目的はストロマトライトを観察することだ。サンゴ礁とよく似ているストロマトライトは藍藻類の死骸などから作られる層状の岩石で,ここクアトロ・シエネガスや,オーストラリアのシャーク湾で見られる。淡水で確認されているのは,世界中でここだけというから,見逃すわけにはいかない。
 しばらくすると先に川に入っていたツアーのガイドが,10センチ大の岩のようなものを取り上げた。それがストロマトライトだと言うので,水中でよく観察することにする。見た目はサンゴ礁そのものだ。表面に光が反射して随所で黄色や青などの色を放っている。生きた化石と言われるのは,1年かけて1ミリほどの成長で表面の藍藻類がゆっくり積み重なって大きくなるからだ。つまり1メートルのストロマトライトは,およそ1000年かけて形成されたと考えられる。
 この自然保護区では,ストロマトライト以外にも固有種の魚などが生息している。なぜならこのように外部とは隔離した砂漠の中では,独自の生態系が維持されているからだ。太古の時代から存在するストロマトライトを感慨深く眺めながら自然の奥深さを改めて実感。世界でこの地にしかない水中の光景を脳裏に焼きつけた。

0205.JPG
posted by sakaguchitoru at 11:25| Comment(0) | メキシコ

2018年04月24日

チワワ砂漠(中)

 クアトロ・シエネガスの人口は数千人。10軒ほどのホテルがあるこぢんまりした観光拠点の町だ。翌日,旅行会社で自然保護区を巡るガイド付きのツアーに申し込む。四輪駆動車で未舗装道を走り,砂漠のオアシスを見学するという内容だ。
 ツアー車でたどり着いた丘は,眩しいほど真っ白な砂で覆われていた。砂漠は日中,40度くらいまで気温が上昇する。太陽がジリジリと照りつけるが,空気が乾燥しているため,カラッとしていて不快な感じはしない。 
 まずは砂丘を歩いて植物を観察する。吹きつける風によって描かれた砂紋は美しく,白い石膏の塔が立っている。周囲には疎らに草が生え,黄色い小さな花が咲いている。
 その次に向かったのは,ポサ・アスール(Poza Azul)という名前がつけられた池。砂漠のなかに現れるこの池は,幹線道路から近い距離にあり観光客が近くまで歩み寄れるように整備されている。「青い泉」という名前のとおり青白く輝くこの池は,ここクアトロ・シエネガス自然保護区の象徴の1つ。地下から豊富に水が湧き出ていいて,透明度が非常に高い。小魚や水草はもちろんのこと,水深10メートル以上あると思われる池の底まで見ることができる。かつて写真を見たことがあったが,実際に目にした池は想像以上に澄んでいて美しかった。

0204.JPG
posted by sakaguchitoru at 00:00| Comment(3) | メキシコ