2018年05月03日

チワワ砂漠(下)

 ポサ・アスールの周辺に点在する泉の湧水は,川となり東に流れていく。水中撮影用のカメラを持ち,泳ぐことができるメスキータ川に入ってみた。固有種のコアウイラハコガメ,多様な水草などが確認できたが,ここでの第一の目的はストロマトライトを観察することだ。サンゴ礁とよく似ているストロマトライトは藍藻類の死骸などから作られる層状の岩石で,ここクアトロ・シエネガスや,オーストラリアのシャーク湾で見られる。淡水で確認されているのは,世界中でここだけというから,見逃すわけにはいかない。
 しばらくすると先に川に入っていたツアーのガイドが,10センチ大の岩のようなものを取り上げた。それがストロマトライトだと言うので,水中でよく観察することにする。見た目はサンゴ礁そのものだ。表面に光が反射して随所で黄色や青などの色を放っている。生きた化石と言われるのは,1年かけて1ミリほどの成長で表面の藍藻類がゆっくり積み重なって大きくなるからだ。つまり1メートルのストロマトライトは,およそ1000年かけて形成されたと考えられる。
 この自然保護区では,ストロマトライト以外にも固有種の魚などが生息している。なぜならこのように外部とは隔離した砂漠の中では,独自の生態系が維持されているからだ。太古の時代から存在するストロマトライトを感慨深く眺めながら自然の奥深さを改めて実感。世界でこの地にしかない水中の光景を脳裏に焼きつけた。

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2018年04月24日

チワワ砂漠(中)

 クアトロ・シエネガスの人口は数千人。10軒ほどのホテルがあるこぢんまりした観光拠点の町だ。翌日,旅行会社で自然保護区を巡るガイド付きのツアーに申し込む。四輪駆動車で未舗装道を走り,砂漠のオアシスを見学するという内容だ。
 ツアー車でたどり着いた丘は,眩しいほど真っ白な砂で覆われていた。砂漠は日中,40度くらいまで気温が上昇する。太陽がジリジリと照りつけるが,空気が乾燥しているため,カラッとしていて不快な感じはしない。 
 まずは砂丘を歩いて植物を観察する。吹きつける風によって描かれた砂紋は美しく,白い石膏の塔が立っている。周囲には疎らに草が生え,黄色い小さな花が咲いている。
 その次に向かったのは,ポサ・アスール(Poza Azul)という名前がつけられた池。砂漠のなかに現れるこの池は,幹線道路から近い距離にあり観光客が近くまで歩み寄れるように整備されている。「青い泉」という名前のとおり青白く輝くこの池は,ここクアトロ・シエネガス自然保護区の象徴の1つ。地下から豊富に水が湧き出ていいて,透明度が非常に高い。小魚や水草はもちろんのこと,水深10メートル以上あると思われる池の底まで見ることができる。かつて写真を見たことがあったが,実際に目にした池は想像以上に澄んでいて美しかった。

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2018年04月18日

チワワ砂漠(上)

 チワワ砂漠はメキシコ北部のチワワ州東部から隣接するコアウイラ州にかけて広がっている。砂漠の真ん中に突如現れるオアシスを有する自然保護区がクアトロ・シエネガスだ。そこへ向かうには,州都チワワからバスを乗り継いで8時間あまり。荒涼な砂漠地帯に湧き出ている大小の泉が200以上もあり,見所になっている。
 「チワワ」と聞くと,小型犬を思い浮かべるかもしれないが,この犬種の名前はチワワ州に由来する。州西部に生息していた野生種を愛玩犬にしたものだ。果てしなく続く砂の大地からは想像ができないが,雨水による地下水脈がはりめぐらされており,うっすらと草木が生えている。石化したような不毛の山もあれば,砂丘もあり。バスの車窓からは多様な砂漠の姿が眺められた。
 クアトロ・シエネガスに到着後,予約していたホテルに向かう。メキシコらしい色彩豊かなコロニアル調の建物に心が和む。部屋でひと休みして町を歩くことにした。

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